医師
プライマリーケア医と専門医に分けられるがプライマリーケア医が土台となりこれを中心に構成されている。プライマリーケア医とは特に家庭医、小児科医、一般内科医のことであるが産婦人科医まで含められる場合もある。理想的には各個人がプライマリーケア医をかかりつけ医として持つことが薦められている。まず患者はプライマリーケア医にあらゆる健康に関する問題を持ちかける。プライマリーケア医はほとんどの分野の診療に関わるが、専門性の強い病態、基本的な治療で効果のみられない病態などは専門医に紹介する。プライマリーケア医の一つの役目は患者の振り分けをすること。これは医療費削減のためでもあるし(専門医にかかることで医療費は高くなる)、専門医が専門性の強い病態のみの診療に集中できるためでもある。

診療
それぞれの医師が働くクリニックを中心に診療が行われ、基本的には予約制。プライマリーケア医の予約は患者個人でできる。専門医に受診する場合は普通、プライマリーケア医から紹介される。特に多くの医療保険は専門医に受診する場合、直接プライマリーケア医から専門医への紹介がなければ保険が効かないように制約をかけている。専門医もプライマリーケア医からの紹介なしには患者を取らない場合も少なくない。ただ医療保険の中にはプライマリーケア医からの紹介を必要としないプランもあり、自分の問題がはっきりしており専門医もプライマリーケア医からの紹介なしに診断してくれる場合は直接専門医に患者個人で予約をとることになる。

病院
病院はあくまでも入院、手術、検査などを行うところ。病院患者の診療にあたる場合、医師はその病院と契約を持ち入院特権を取得しなければならない。入院特権を持っていない病院では医療行為はできない。自分の患者が入院が必要な場合は契約している病院に入院させる。ただし患者がその病院にかかりたくない場合、患者はどの病院でも選択できる権利はある。しかし自分のかかりつけ医には診てもらえないこと、また医療保険でカーバーされる額が病院によって異なることが多いので注意したい。最近の傾向として入院した場合は病院専属のホスピタリストが診療にあたることが主流になりプライマリーケア医の多くが病院の入院特権を放棄することが多くなった。病院での経過は退院報告書としてプライマリーケア医のところに送られ方式となっており、できる限り医療の継続性を維持する仕組みにはなっているが限界があるのは事実である。

全ての病院には救急室:Emergency Room(ER)/Emergency Department( ED)があり、常時救急専門医が待機している。緊急時はER/EDを利用することになるが、もし自分のプライマリーケア医が病院患者の診療も行うなら入院特権を持っている病院のER/EDに行くことが好ましい。もし入院が必要な場合自分のプライマリーケア医が入院を取ってくれるし、ER/EDからのカルテもプライマリーケア医のところに自動的に送られてくるので医療の継続性につながる。

医療保険
通常は自分の雇用者から提供される。多数の医療保険会社があるが、雇用者が一つの医療保険会社と契約をとる。個人負担料は医療保険会社によって、またそれぞれのプランそして自分の雇用の地位などによって異なる。詳しい内容は医療保険会社あるいは雇用者の人事課(Human Resource)に直接聞くのが一番わかりやすい。

クリニックで診察を受ける場合は、co-pay(定額自己負担)、一般的には約25ドルを診察直後に支払うことになる。保険会社が負担してくれなかった部分の診察料は後にクリニックから請求書が郵送される場合もあり各個人が負担しなければならない。co-payを診察後に払わなかった場合は同時にco-payを請求されることもある。
病院で入院した場合は病院から滞在費、検査費、食費、薬代など、また診療にかかわった医師、放射線映像を撮った場合にはそれを解読した放射線科医からそれぞれ請求書が送られてくる。病院での負担金額もやはりそれぞれの医療保険によって異なるので雇用者あるいは医療保険会社に確認しておくとよい。手術をした場合もやはり病院からの手術室使用料、検査費、薬代、そして麻酔科医、外科医などからそれぞれ医療費の請求がくる。                                                                 一般的な医療保険のプランでは割安に利用できるプライマリーケア医、専門医そして病院も指定している。これはどの医師、病院にもかかれないというわけではないが、個人負担料がやや多額になる。プランの中には使用できる医療機関の指定がないものもあるが、その場合は掛け金が高くなる。また多くの医療保険では控除金額がある。つまりある一定限度の金額までは個人で支払わないと保険が効かないということ。 ただこれらの決まりもやはりそれぞれの医療保険プランによって異なるので詳しい内容は医療保険会社あるいは雇用者と確認をとるのが一番効率がよい。

処方箋を購入する場合も医療保険を使う場合は普通co-payを支払うだけでよい。ブランドの薬かノーブランドの薬かでco-payは異なる。ただ最近では全国的に支店のあるスーパーマーケットで薬局の入っているところではかなり低額でノーブランドの薬を医療保険なしに購入することができる。薬の種類によっては自分の医療保険を使用しないほうが安く購入できることもあるので場合によっては購入方法を薬剤師と相談してもよい。                                                                       その他、歯科保険、眼鏡保険は別に提供されることもある。雇用者によっては全てを提供してくれるとは限らない。Co-payや自己負担額も医療保険によってそれぞれ異なる。

緊急時
まず自分のプライマリーケア医に連絡を取りその指示に従う。時間外の時でもかならず待機当直の医師と連絡がとれるようになっている。一刻を争う緊急の場合は’911’に電話して救急車を呼ぶと最も近くの救急室に運ばれる。(自分のかかりたい病院に行けるとは限らない)。 少しの余裕がある場合は個人で運転していってももちろんよい。米国では救急車の費用は個人負担で、ほとんどの場合は医療保険で賄われるだろうが控除金額がある場合もあることは覚えておきたい。

時間外で診療が必要な場合は救急室ER/EDに行くか、Walk-in-Clinic に行くことになる。Walk-in-Clinicは予約が必要でなくER/EDと普通のクリニックの中間的存在。深刻な緊急状態の場合はER/EDに行くことをもちろん薦めるが風邪症状や軽症な怪我などには Walk-in-Clinicでもよい。

医療関係者
アメリカでは医者だけでなくNurse Practitioner(NP)やPhysician Assistant(PA)という職位がもうけられていて診療に携わることができる。医師不足政策と医療費削減の目的で設けられた職位である。NPは日本語で上級看護師と訳されることもあり臨床医と看護師の中間職と位置づけられているが、どちらの職位も日本ではまだ認められていない。米国ではNPでもPA(PAはある程度医師の監督の基でで働くことが必要)でもほぼ一般的な病態の場合には医者と同じように診療に関わることができる。

その他
医療保険会社を中心に医療システムが構成されていると言っても過言ではない。検査、処方箋の制限はもちろん、かかる医師や病院まで制約されていることが一般化されてきてた。

とにかくアメリカの医療費は高い。 だからこそ上手に医療保険を使うことが大切だが、医療保険を使っても自己負担料だけでもかなりの金額になることは頻繁に起き医療費のために破産に繋がる話はよく聞く。健康そして予防に心がけること!一般的に健康診断は医療保険で一年に一回は無料で受けられる。

そして最後に、アメリカは訴訟社会。全ての医療行為を患者自身に説明することを要求されるし、処置、手術などをする時には患者側に必ず同意書を請求される。医療関係者は全ての医療行為、患者、家族への説明内容などをカルテに記載することを義務付けられている(これは医療機関側を訴訟から守るためでもある)。医療機関にかかる時には色々な用紙にサインを要求される。これらのシステムによって安全でスタンダードの医療が受けられことに繋がっているのであろうが、全ての医療関係者は多額の訴訟保険費を支払っていることを考慮するとアメリカの医療費が高額になっている一要因であることには間違いない。