家庭医療(Family Medicine)/家庭医(Family Practitioner)について

家庭医とはプライマリ.ケア医であるかかりつけ医のことである。臨床医療の中でプライマリ.ケアの定義とは以下の通りである。「患者の抱える問題の大部分に責任を持って対処できる幅広い臨床能力を有する医師によって提供される健康管理サービスであり、このサービスは、受診がしやすく総合的かつ継続的であり、また家族および地域を視野にいれたものでなければならない。」 家庭医療とは疾病、臓器、患者の性別、年齢、その他医学的技能の専門性にとらわれず、患者ならびに地域住民の健康問題を幅広く担当する医療分野。日本でも最近、家庭医療科、総合診療科の存在が知られるようになり医療システムの中にも地域によっては組み込まれはじめているようだ。

アメリカにおける家庭医の特徴

24時間365日対応:診療時間外は電話で対応できる制度になっている。週末や、休暇中は同僚の家庭医とお互いに待機当直をカバーし合う。

患者中心の医療:患者全体を生理的、心理的、社会的、霊的なものとしてとらえ、患者と共に考え、助言、治療していく。専門医のように臓器別に診るのではなく患者自身を一体として診療に取り組む。

幅広い診療範囲:家庭医は新生児、子ども、妊婦、大人、および老人まで、幅広く誰の診療にも当たる。“家庭医”というのはこのように家族全員を診ることができるから。家庭医の中にはお産も担当する医師もいて、帝王切開までする場合もある。

横の専門家:いわゆる専門医が縦の専門家に対して家庭医は浅く広い知識が必要。家庭医は患者がもちかける問題をなんでも受け止め対応する。ありふれた急性疾患、頻繁にみられる皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、泌尿器科、婦人科的な疾患の問題への対処、慢性疾患、生活習慣病の管理、軽度救急の初期治療、鬱病を含めた精神的疾患への対応、カウンセリング、ホスピス、緩和医療、終末医療の患者への対応、老人ホームでの患者診療など。在宅医療に関わる家庭医もいる。

医療の継続性:病気の経過中はもちろんその前後や健康な時にもかかわる継続性。またいつも同じ医者が診ることによって、患者の体質、患者―医者関係およびお互いの理解度も深まる。 ただ最近では病院に入院した場合は病院専属のホスピタリストが診療に携わることが主流となっており多くの家庭医は病院患者をとらない傾向になり入院中の継続性が途切れるようになったことは悲しい現実でる。

医療への近接制:医療へのアクセスが物理的にも心理的、社会的にも良好で、いつでも受診しやすいように努められている。クリニックは基本的には予約制だが、 救急の場合はその日の受診も可能な場合が多い。

予防医学;禁煙や肥満予防を含めた生活習慣改善のための援助から癌検診、企業検診、学校検診、子どものスポーツ検診などまでに携わる。新生児、子ども、大人の予防接種など。アメリカにはいわゆる人間ドックというシステムはなく健康診断はプライマリー医の役目である。一般的には医療保険で健康診断は一年に一回は無料で受けられる。

専門医への紹介:家庭医が診療した患者の約5―10%はさらに専門医の診療が必要になるといわれている。専門医に紹介した後もその後の病気の経過は専門医から報告を受けるかたちになっている。患者は専門以外の医療相談はまた家庭医のところに戻ってくる。